チェコ建築と美術様式
チェコの建築様式と美術様式
ヨーロッパの建築様式や美術様式は、時代の変遷と共に、新たな要素を取り組みながらその全体像を変えて来ました。チェコにおいてもっともユニークな町であるプラハでは、様々な時代の建築物を見ることができ、またその時代背景を垣間見ることができます。そういったことから、プラハ(Praha)は「建築の博物館」とも呼ばれています。
ロマネスク様式
10世紀に、ローマを中心とするイタリア地方で発祥したロマネスク様式がヨーロッパ全体に広まりました。ボヘミア地方では、キリスト教の布教が盛んになると共に、建築分野ではロマネスク様式が主流となりました。ロマネスク様式の典型的なものは、円形の教会に見られます。当時、白亜が建築資材として用いられていたため、建物の壁は白く、また、石造りの建物を建てるという手法は以前用いられていなかったため職人の技術も未熟で、壁がとても分厚いことからも見て取れます。壁の厚さは平均1メートルから2メートルで、窓もほとんど見られません。天井や扉には、木材や石が用いられていました。
 プラハ(Praha)やその周辺の地域には円形教会や大聖堂など、ロマネスク様式を持つ建物が現在もそのまま残っています。中でも最も有名なのは、プラハ市内のヴィシェフラト(Vyšehrad)にある聖マルンティン教会プ及びプラハ城にあるロマネスク様式の聖イジー大聖堂です。
ゴシック様式
12世紀頃から、ヨーロッパではフランスを中心にゴシック様式が盛んになり、その後15世紀まで最も主要な建築様式となりました。ゴシック時代の建物の特徴は、その高さにあります。控壁(アーチを使って建物を支える)を用いたおかげで、天井の高さは、30メートルに達することが可能となりました。また、ゴシック時代の教会の塔は、100メートルの高さにまで及びます。現在でも、ヨーロッパの様々な町で、ゴシック様式の建物が天高く見事に聳えているのが見られます。窓の外部には、尖頭アーチが装飾され、窓ガラスはステンド・グラスで飾られています。チェコでは、ゴシック様式を持つ数多くの建築物が現在まで保存されていますが、その中で最も有名なものとして、プラハ城の聖ヴィート大聖堂、カレル橋、クトナー・ホラの聖バルボラ大聖堂、カレルシュテイン城、などが挙げられます。
ルネサンス様式
16世紀には、中央ヨーロッパでルネサンス様式が流行しました。また当時には、市民階級が力をつけ、町が発展しました。ちょうどこの時代から、レンガが建築材料として用いられるようになりました。ルネサンス様式の建物の窓は長方形で、外壁は「スグラフィット(重ね彫りの絵)」で装飾が施されました。チェコでは、ルネサンス様式の町やお城が現在まで残っており、ネラホゼヴェス城世界文化遺産のテルチとチェスキー・クルムロフなどで、その美しさを満喫することができます。
ロココ様式
18世紀初頭、フランスで生まれた新たな建築様式であるロココ様式がヨーロッパ全体に広がりました。ロココ様式の名称の由来は、ロカイユ貝を用いた装飾が作り出す複雑な模様を持つ方法に似ている事から、この名称が使われるようになったと言われています。チェコにおいては、貴族によって、ロココ様式を用いた宮殿が、数多く建てられました。その例として、プラハの旧市街広場に面するゴルツ・キンスキー宮殿や、プラハ城の側にある大司教の宮殿が挙げられます。
新しい様式
19世紀に入ると、中央ヨーロッパでは、旧様式を用いて新たな様式を生み出すという様々な試みられました。有名なものとしては、ネオ(新)ロマネスク様式、ネオゴシック様式、ネオルネサンス様式及びネオバロック様式が挙げられます。現在プラハ(Praha)で見ることができるのは、ネオロマネスク様式やネオゴシック様式を用いて建てられた教会、またネオルネサンス様式の国民劇場や国民博物館などがあります。
アール・ヌーヴォー
アール・ヌーヴォーの有名な画家として、チェコ人のアルフォンス・ミュシャ(Mucha Alfonz ‐チェコ語ではムハと読む)。この美術様式は建築にも多大な影響を及ぼしました。チェコの発展した町では、住宅などの建物が、この様式を用いて建てられました。プラハに見られる代表的な例としては、プラハ中央駅があります。
キュビスム
1920年代に、新しい美術様式であるキュビスム(立体派)が生まれました。プラハでは、このユニークな様式が用いられた、世界的にもまれな建築物を見ることができます。
チェコの建築家と日本
外国で活動を行っていた建築家の中でも最も有名なチェコの建築家の作品は、日本の広島にある原爆ドーム(本来は、広島県物産陳列館として建てられた)です。この建物は、チェコ人の建築家であるヤン・レツル(Letzel Jan 1885-1925)によって、1915年に建設されました。
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