聖十字架礼拝堂 (Kaple sv. Kříže)

聖十字架礼拝堂 (Kaple sv. Kříže)の概要、歴史などの情報

    1348年にカレル四世はカレルシュテイン(Karlštejn)城を建設し、そのお城の偉大な塔(Velka věž) の中に神聖ローマ帝国の宝物を保管する財宝庫を作りました。財宝庫は昔から「聖十字架礼拝堂」と呼ばれていました。カレル四世の命令によって、その礼拝堂が天国を象徴するように、聖書のモチーフやシンボルが取り入れられました。
   礼拝堂内の空間は天井から床にかけて三つの部分に分けられており、それぞれ異なったコンセプトを用いて装飾が施されています。空間上部は天国を意味しており、天井は青色で塗られ水晶がちりばめられています。そして空間下部は宝石や黄金によって飾られ、それらは帝国の富や地球の豊かさを現しています。最後に残った空間中央部ですが、そこにはテオドリク(Theodorik)画家によって描かれた129枚の壁絵が飾られています。それらの壁絵は聖人の肖像画ですが、聖人は等身大よりもやや大ききめに、そしてその聖人を象徴するものを添えて描かれています。当時絵の額縁にはその聖人の骨の一部も飾られていたのですが、その後骨はみな持ち去られてしまい、現在は、それらの額縁に骨の形をした穴が残るのみとなりました。

   14世紀にカレル四世によって集められたこれらの聖人肖像画は、キリスト教世界の中でも最大数を誇るコレクションとなりました。聖十字架礼拝堂は神に近い場所とみなされていたため、そのコレクションの中でも特に重要なものは、聖十字架礼拝堂に保管されていました。
  礼拝堂内はまた、黄金の柵によって真ん中で境界線を設けられています。これは人間の占める領域と、キリスト教が占める領域を表しています。人間の領域へは当時の重要な人物が靴や帽子などを身に着けないで入ることができ、キリスト教の領域へはプラハ大司教と神聖ローマ帝国皇帝のみが入ることを許されていました。そこにも神聖ローマ帝国の王冠とボヘミア王国の聖ヴァーツラフ王冠などの貴重な宝物が置かれていました。
   この聖十字架礼拝堂は、14世紀に神聖ローマ帝国やキリスト教世界の中で最も重要な礼拝堂となりました。聖十字架礼拝堂のユニークな装飾様式は現在まで残っていますが、しばらくの間修復工事のために見学が中止されていました。そして2002年には長かった修復工事が完了し、礼拝堂内部の見学が再開されましたが、展示物の状態悪化を防ぐために、特別な見学ルールが設けられました。
   この見学は夏期しか行われていません。そして見学には一ヶ月前に予約が必要です。1グループの参加者数は12人までで、見学時間は70分を要します。


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